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二つの技術革新が、生物多様性の測り方を変える

Diego Saez Gil
創業者・最高経営責任者(CEO)
KEA設立以前、ディエゴはPachamaを共同創業。自然由来のカーボン市場向けの地理空間AIを開発し、森林保全・再生への数億ドル規模の資金供給を後押ししました。
生物多様性を測り、理解する方法が変わりつつあります。ここ数年で進展した二つの技術が結びつくことで、より細かく、より迅速に自然を観測・報告する道が開かれています。
エッジAIと低軌道衛星通信
一つは、現場のセンサー上で動くAIと、Starlinkのような低軌道衛星通信です。アマゾン奥地のカメラでも、記録媒体の回収を待たずに画像をその場で処理し、通信条件が整えば遠隔へ送信できます。携帯電話網の届かない場所での観測を変える技術です。
エッジAIと衛星回線の組み合わせは、定期的な訪問が必要な観測機器を、自ら情報を届ける基盤へと変えます。現地調査を補いながら、人が常時付き添わなくても継続的に状態を把握できるようになります。
高度なAIモデル
衛星画像、生物音響、環境DNA、カメラトラップの映像を突き合わせ、生態系の姿を統合して捉える。専門家による長い手作業が必要だった分析を、高度なAIモデルが支援するようになっています。
難しいのは、異なる観測を結びつけることです。樹冠の変化は伐採か季節変化か。鳥の声の変化と環境DNAの結果は整合するか。複数の情報を同時に扱うモデルは、個別報告の照合作業を減らし、変化の要因を検討する助けになります。ただし、因果関係の判断には、適切な調査設計と専門家の確認が欠かせません。
生態系を多面的に捉える、六つの観測手段
AIの分析を支えるのは元データです。データを生み出す観測機器にも、着実な進歩がありました。
環境DNAは、水や土壌に残る皮膚片、排泄物、粘液などの遺伝物質を分析して、生物の存在を調べます。動物を直接見つけなくても、多様な種の情報を得られる手法です。採取条件や分析法に応じた解釈が必要ですが、生物多様性を知る新たな窓口になっています。
生物音響レコーダーは鳴き声から種を識別します。継続設置により、朝のさえずりや夜間の声を長期間収集でき、AIが専門家の識別作業を支援します。
カメラトラップでは大量の画像が得られます。画像認識モデルによって、記録媒体の回収後に一枚ずつ確認する方法から、現場での迅速な分類へと移行が進んでいます。
小型の地球観測衛星の発展により、地表を高頻度・高解像度で捉える機会が増えています。実際に使える観測頻度や解像度は、衛星とサービス、雲などの条件によって異なります。
LiDARを搭載したドローンは、樹冠の層や下層植生の密度など、生息地の立体構造を捉えます。平面の衛星画像では見えない情報を、有人航空機による調査より小規模に取得できる場合があります。
土壌センサー、水質計、大気観測機器は、生物を支える物理・化学的な環境を補います。他の観測で捉えた生物が、なぜその場所に生息できるのかを理解する手がかりです。
モニタリングの先に広がる可能性
技術の組み合わせは、規制対応のための測定・報告を超える可能性を持ちます。ここでは三つの方向を紹介します。
生物資源の探索
生物由来の有用な物質を探す研究では、遺伝情報と生態学的な環境を組み合わせた分析が役立つ可能性があります。AIによる探索が進めば、医薬、農業資材、バイオ素材につながる知見が広がることも期待されます。
気候と生物多様性を一体で捉える
炭素、水、種の動態は、従来別々のチームや時期に調べられがちでした。同じ場所で継続的に観測すれば、相互の関係が見えます。気候対策の生物多様性への影響を評価し、適応計画にも種の分布変化を反映しやすくなります。
生物圏の健全性を見守る
最も大きな目標は、地球の生態系を多様な手段で継続観測し、大きな状態変化の兆候を早期に捉えることです。被害が広がった後の確認から、変化に備えるための観測へと進む可能性があります。
研究だけでなく、企業の報告にも関わる
CSRDやTNFDへの対応、融資契約上の生物多様性要件に取り組む企業にとって、重要なのは一つの新技術だけではありません。単発の現地訪問と報告書をつなぎ合わせる方法を補い、訪問の合間の状態も説明できることです。複数の観測を継続して記録すれば、事後的な再構成に頼らない根拠を整えられます。
現場からプラットフォームへ情報が継続的に届くことで、把握、計測、行動の間隔を短くできます。報告にかかる時間を減らす可能性も、そこにあります。
KEAの挑戦的研究プロジェクトも、この変化を土台に、広域のリアルタイム生物多様性モニタリングを目指しています。
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