第0段階:既存データの解析
一つの生産地域で、認証農場の既存区画情報を用いて過去の状態を解析。想定期間は2~3カ月です。
挑戦的研究プロジェクト
熱帯の農業景観では、共通の方法で繰り返し測った生物多様性データが不足しています。大規模な計測基盤を構築し、モデルと手法を公開する構想です。

不足しているもの
世界的な生物多様性データは、保護地域や自然度の高い生息地に偏り、農地の把握には粗い代替指標が使われがちです。課題は現地の正解データ。環境DNA、音響、衛星データを組み合わせる技術があっても、学習用のデータは少なく、手法も不統一です。熱帯農業景観で繰り返し収集する共通データの整備を目指します。
構想の背景には、33カ国・800万ヘクタール超の認証コーヒー、カカオ、茶の農地へ毎年訪問する認証ネットワークがあります。現地訪問の機会とEUDR対応に沿った農場位置情報を研究に活かせれば、稼働中の農地を継続観測する基盤になり得ます。
対象範囲と段階
農場密度、現地アクセス、分析施設、科学者ネットワークを踏まえ、ラテンアメリカのコーヒーから始める構想です。手法、モデル、ガバナンスは、西アフリカのカカオやアジアの茶への展開を見据えて設計します。
一つの生産地域で、認証農場の既存区画情報を用いて過去の状態を解析。想定期間は2~3カ月です。
一つの作物・地域で、認証農場と比較対象となる慣行・非認証農場を含めた計測を実施。想定期間は12~18カ月です。
収集データでモデルを学習し、学習に使わなかった現地データで検証した初期成果を公表。想定期間は12カ月です。
モデルの重み、手法、コードを公開し、作物と地域を広げながら継続します。
構築するもの
前の段階を土台に、三つの層をつくります。
統計的に選んだ認証農場、条件をそろえた非認証農場、参照生息地で、土壌環境DNA、受動音響、構造化した現地観察を実施。衛星等では対象認証農場を毎年観測します。
収集データを用い、遠隔情報から生物群集を推定するマルチモーダルモデルを構築。不確実性の範囲を示し、学習外の現地データによる検証結果を公表します。
モデルの重み、手法、コード、検証結果、個別農場を識別できない研究用データの一部、農場のプライバシーに配慮した解像度の生物多様性地図を公開する構想です。
助成終了後も続けるために
モデルの学習に使う計測は、企業の実務にも必要です。認証の成果を裏づけ、自然関連の開示や目標設定に向けて調達リスクを評価するうえで、低コストで信頼できる生物多様性計測への需要があります。CSRD、TNFD、SBTNは性質が異なるため、それぞれの要件に応じた活用を想定します。
寄付・助成が初期の計測基盤と公共財を支え、商業需要が3年目以降の観測、データ蓄積、モデル改善を支える設計です。
計測の改善で検証費用が下がり、検証の拡大で学習データが増える。相互に強化される仕組みを目指します。
これは単発調査ではなく、長期の計測基盤の構想です。再生型農業が測定可能な生物多様性の成果を生むかを問い、規模が拡大しても検証を続けます。